クラシックから学べ! (キーボードマガジン 1995年11月号に掲載)

「Part1 モダン ハーモニーとクラッシック 中嶋 恒雄 著」から我が家のキーポイント

♭VI-I(2転形)-V7

ルネッサンス以来使われていた。17世紀から18世紀にはA♭にBナチュラルを重ねて盛んに使われた。ポピュラー音楽では1909年、スコット ジョプリン(1868年生まれ)の「ユーフォニック サウンズ」に現れる。

ラグタイムからクラッシックへの影響

ドビュッシー子供の領分」、ラヴェルのバイオリンソナタストラヴィンスキーの「ピアノ ラグ ミュージック」などがラグタイムのリズムの影響を表している。

V7に重ねる9th, 11th, 13th

属7の和音ソシレファに9th, 11th, 13thを重ねてソシレファラド#ミとすると、音階のほぼすべての音を吸収し、ソシレの13thや、ラド#ミの♭13thなのか、区別がつかなくなり、結果、ドミソへの進行感が弱まる。フォーレドビュッシーは主音への束縛が弱まることを利用してさまざまな旋法を取り入れ、V-I、IV-I、Vなどの終止を多用した。

「Part2 クラシックの名曲にコードネームを付けてみる 小林智 著」から我が家のキーポイント

プロコフィエフピーターと狼」の転調の手続きで

I-♭VI-♭III は短3度上の調のVI-IV-I

♭VIは同主短調からの借用和音とも、サブドミナント マイナーの代理和音ともとれる。そこから♭IIIへ移行すると、サブドミナントからトニックへのアーメン終止と感じられ、同時に短3度上の調への転調となる。

V-VII-III-VIが最初の調へ戻る手続き

短3度上の調のVIが、最初の調のIにあたる。そのため、短3度上の調から元の調へ戻る時、III(7)からVIへ移行することで元の調のドミナントモーションとなる。「ピーターと狼」では、さらにIIIへのドミナントモーションを引き出すためにIIIの4度下のVIIを使って、転調への手続きを演出している。(VIIはVの代理コードとして役割があり、この曲ではVからのつなぎとして、IIIへ強進行する役割で登場している。)