日本の知識集約型産業の課題

ザ・フィンランド・システム―日本ビジネス再生の鍵は、フィンランド(世界競争力1位)にある

ザ・フィンランド・システム―日本ビジネス再生の鍵は、フィンランド(世界競争力1位)にある

フィンランドシステムの発案者はだれ?」のつづき。
以下、最終章から読み取ったこと。

知識集約型産業の実態

  • 楽天ソフトバンクなどの新興企業は日本国内市場での流通で伸びた企業であり、インターナショナルなベンチャーではない。また、これらの企業が従来日本が世界的競争力の源泉としてきた加工貿易産業をサポートしているとも言い難い。
  • ソフトウェアビジネス、製薬に代表される知識集約型産業で、世界での売り上げランキング上位にランクインする企業が無いに等しい。
  • 国内の株式市場ですら、上位にソフトウェア企業がない。

2つのポイント:地方の競争力強化と知識集約型輸出産業の育成

  • 国内市場向けだけではなく、世界的なベンチャーを生むことを目標とするべき。公的機関の助成が世界企業を生んだ例がない。これはおそらく、日本市場が十分に大きいので、まずは国内、という意識がある。
  • 公的機関はお金だけではなく、ディスカッションやアドバイスの機会を提供できるものであるべき。そのためには、公的機関がベンチャー育成のノウハウや人脈を横に展開する機能を持つこと。そして、参加ベンチャーが会いに行きたくなるような人物を中心に据えるべき。日本ではクラスタープログラムが官学によって運営されており、ビジネス経験豊富な人材が足りない。

日本人学生に対する教育の国際化

英語での授業を増やし、全世界からの学生、研究者を集めて、その輪の中で日本人を育成するべき。現在、日本に来る留学生は日本語で学ぶことを前提とする人が多く、出身地域もアジアに集中しがち。この背景から、日本人学生にとってのメリットが少ない。

大企業とベンチャー相互作用によるイノベーション

大企業のノウハウを、ベンチャー育成に活かす。ベンチャーを大企業のイノベーションに活かす。大企業が資金面で協力しているサイエンスパークなどでの、大企業とベンチャーとのコラボレーションを促進するべき。また、大企業が自らイノベーションを起こすためにも、ベンチャーを利用するメリットがある。