個人情報とマーケティング業務の「機微な情報」への姿勢

マーケティングリサーチなどで、当り前のように興味の対象となる「性別、年齢、職種」をめぐって、あるアメリカ企業のプロファイルマーケティング担当者たちと長い間議論してきたことがあります。これは長期的な議論の中で聞いたことをまとめたもので、新たに参加するパートナーの方に私から説明していることでもあります。

性別、年齢情報のインパク

匿名ではなく、個人が特定できてしまうプロファイルマーケティングでは、性別と年齢はインパクトが高いために「絶対に取得するべきでない」と言われました。
この考え方は日本人のマーケターからは猛反発を食らいました。性別や年齢に合わせてマーケティングを行うのが当たり前と考えられていて、実際に効果が高いからです。

しかし件の米国企業のプロファイルマーケティング担当者によると、顧客が女性か男性かによって接し方を変えている可能性があるだけで企業の姿勢として問題がある、と。
日本人の中にも「ジェンダーマーケティングは良くない」との意見を持っている人がいて、おそらく同じ考えのようです。

年齢については、未成年からは個人情報を取得しないことを方針としていることが第一の理由であり、さらに、未成年者と判別できるプロファイルを保持することは危険であり、流出などの事故があった時の社会的責任が極端に重くなる。プロファイルデータは未成年かどうかわからない方がずっと安全である。
だから保持してはいけないとのことです。

職種の分類

こちらも個人が特定できる場合の話です。ダイレクトメールを送付する場合などに、誰彼かまわず送ってしまうと費用が無駄になる上に、まったく興味が無い人にとっては苛立ちの原因になりかねません。そこで、行動から興味の高さを測ったり、職種からターゲットとしてふさわしい対象を絞り込んだりします。

そのために議論を重ねて職種の分類をリストアップしますが、その中に「主婦」を含めることは件の企業から拒否されました。なかなか理由を言ってくれませんでしたが、職種として「主婦」選択することによって、暗に女性であることと、配偶者の有無を知ってしまうことを問題としているようです。
同時に、業務内容によって決まる職種ではなく、配偶者の有無というステイタス(Marital Status)によって決まってしまう属性を職種として聞くことにも抵抗があるように見受けられました。