和人による不正なアイヌ支配と現代の貧困層マーケット

幕府の時代にアイヌ人と交流していた和人の伝記と、ビジネススクールの教授が書いた「貧困層」と呼ばれてきた消費者社会をミドルクラスに移行させる構想を立て続けに読んで、「立派な生産者であり消費者である層が、先進国と互換性が無いことによって不毛とレッテルを貼られている」という共通点を感じました。

現地の役人による搾取

松浦武四郎が幕府おかかえとして蝦夷地に赴いた、調査の過程で見られた不正を記録している。訴えを聞いた調査隊長の向山源太夫は、奉行には申し上げるが、場所請負の支配人、番人どもの悪風はすぐには改まるまいと答える。

北海道人―松浦武四郎 (講談社文庫)

北海道人―松浦武四郎 (講談社文庫)

配給する米を図る枡を小さく作り、配給を減らす。
偽って老人の年齢を若く登録し、援助の対象からはずす。
(P234)

幕府直轄から松前藩の管理に移行してからの30年間で、世帯数が4分の1に減った。(P237)

アイヌからの訴えは通訳によって穏便なものに言い換えられていた。(P240)

和人がアイヌの地を不毛の地と呼ぶのはまやかしである。
この地は自然が豊かで、作物も十分に取れる地である。
人々は年老いるまで和人にこき使われている。
そのため生涯孤独で過ごすものが少なくないので、人口が減っているのであって、決して不毛の地ではない。
(P250)

1日2ドル未満で暮らしている貧困層の購買力

地方の村や、地元スラムの有力者が支配権を独占している。(P29)
生産者が介入できない方法で作物の価格が操作されている。
一握りの富裕層よりも、貧困層の方が大きな購買力を持っている。(P36)
隔離されていた生産者同士がネットワークを作ることで、企業や政治家と直接交渉し、競争力を手に入れる。(P43)
貧困層の消費者がさらに稼げるようになることによって、さらに消費力が増す。(P49)