カノン進行の一部を転調するアレンジ

田中ルミ子 著「ハイテク作曲教室」(キーボードマガジン1997年12月号掲載記事)では「イエスタデイ ワンスモア」のAパートの8小節に続く、次の8小節(A'パート)に「もうひとつのトゥーファイブ」が含まれると解説されています。

9小節目から16小節目(A'パート):

小節番号 9 - - - 10 - - - 11 - - - 12 - - -
和声表示 I IIIm/VII VIm VIm/V IV△7 VIIm7 III7
小節番号 13 - - - 14 - - - 15 - - - 16 - - -
和声表示 VIm VIm7/V IV△7 IIm V7 IV V7

平行調への転調部分にもトゥーファイブ

A'パートも、Aパートと同じように始まりはカノン進行の転回形「I-IIIm/VII-VIm-VIm(7)/V」が繰りかえされていますが、それに続く「IV△7-IIIm-IIm7-V7」の IIIm の代わりにVIIm7-III7-VIm-VIm7/V-IV△7 が挟まれています。
この「違っている部分」に目をつけると、実は VIIm7-III7-VIm平行調の iim7-v7-im と一致します。
つまり

  • メジャー調のIV△7から4度上のVIIm7 に進行すると同時に、平行調(マイナー調)へ転調している。
  • VIIm7-III7 は平行調でのiim7-v7 (短調のトゥーファイブ)である。
  • 「v7-im」(III7-VIm) は、短調のドミナントモーションである。
  • 「im (iマイナー)」は転調前の長調VImなので、
  • 再びベースラインをVI-V-IVと順次下降 (バロック音楽をとりいれたアレンジを参照) させて、
  • IV と同じサブドミナントの役割をもつ IIm からトゥーファイブの進行
  • 続くコーラスパートの I へと向かう。