ブルースのコード進行、12小節の基本形からの発展
参考: 初めて弾くブルース・ピアノ (著:Jim Akin、監修/翻訳:チャールズ清水) キーボードマガジン 1995年4月号に掲載された記事。
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ブルースのコード進行
もっとも基本的なものは、
Part1 | I7 | I7 | I7 | I7 |
Part2 | IV7 | IV7 | I7 | I7 |
Part3 | V7 | V7 | I7 | I7 |
の合計12小節を単位とする。上記のように、12小節は4小節ごとに3つに分けて展開する。
大半の曲はこのように基本となる12小節を繰り返し続けるようにつくられている。ただし、中にはヴァース部分とコーラス部分で展開が微妙に変化するように構成されている2段構えの曲もある。
これらのコードをCのキーに当てはめると、C7、F7、G7となり、C7にB♭、F7にE♭が含まれる。B♭、E♭はブルーノートとしてメロディに含まれ、Eを含むC7の上でE♭が使われたり、Bを含むG7の上でB♭が使われたりする。
基本から派生するコード展開の例
- 2小節目をIV7にする
- 10小節目をIV7にする
- 最後の2小節を2拍ごとにI7、IV7、I7、V7とする
Part1 | I7 | IV7 | I7 | I7 |
Part2 | IV7 | IV7 | I7 | I7 |
Part3 | V7 | IV7 | I7 IV7 | I7 V7 |
ターンアラウンド
上記の例の、最後の2小節の変化をターンアラウンドと呼び、次のコーラス(12小節)の手前の区切りを感じさせる意味がある。
ジャズ・ブルースの展開の例
上記の例にさらに展開を加えて、
- 7小節目からの4小節のI-I をI-VI に、V-IV をII-V に置き換えることで1小節ごとにI7、VI7、II7、V7 とし、
- 残る最後の2小節を2拍ごとにI7、VI7、II7、V7 とする。
Part1 | I7 | IV7 | I7 | I7 |
Part2 | IV7 | IV7 | I7 | VI7 |
Part3 | II7 | V7 | I7 VI7 | II7 V7 |
12小節目3、4拍目のV7 の次はコーラスの頭に戻ってI7 となるので、VI-II-V-I の繰り返しを作り、順に四度ずつ移行する「強進行」の循環となる。
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 |
---|---|---|---|---|---|
VI7 | II7 | V7 | I7 VI7 | II7 V7 | I7 |
12小節最後のV7 から最初のI7 への進行に向けて、V7 へ強進行するII7、II7 へ強進行するVI7 を前に置くことによって、ジャズ的な風味が生まれる。
II7 とVI7 はCメジャーのキーではD7とA7で、それぞれCメジャースケールの構成音ではないF#とC#が使われている。Cメジャースケールの構成音だけで作るコードではDm7とAm7になるが、ジャズ・ブルース的な強進行の循環を作るには、A7のC#からD7のDへ、D7のF#からG7のGへの進行が鍵となる。
(つづき)
- 左手用コード
- 左手のベースパターン
- ブルーススケール
- ブルースのフレージング